QUANTZ: Trio Sonatas (Flute)
Ensemble Labirinto Armonico (Dynamic) 96Khz/24bit
1697年ハノーファー近くに生まれた18世紀を代表するフルート奏者・作曲家だが、それだけでなく、当時最高といわれていたフルート教本・音楽理論書も著した。奏法だけでなく演奏の心構えなども書かれているその本は各国語に翻訳されて今でも読み継がれられている。
フルートと言っても18世紀なのでバロック・フルートと呼ばれている横吹きリコーダー。勿論、木でできているので縦型のリコーダーと音色はとてもよく似ている。乱暴にいうと縦と横の違いだけ。フルートはその後改良が進み機能が改善しさらには金属化され大編成の中でも負けないような音量を出すことができるようになりオーケストラでもしっかりとした定位置を確保したがリコーダーの方はそのような道を辿らなかったため、一旦は廃れていってしまった。
クヴァンツがフルートを始めたのは20歳を越えてからだが、そこは天才、31歳には当時まだ王子だったフリードリッヒ大王のフルート教師にまでなり、フリードリヒが大王に即位してからもそのまま教師・楽士として死ぬまで宮仕をした。当時のフリードリッヒ大王の宮廷には一流の演奏者が集まっており、C.P.Eバッハもチェンバロ奏者として27年間も在籍した。その宮廷で演奏するためにフルート曲を書きまくり、その数500曲以上を残している。
このアルバムで取り上げられている曲は当時の欧州で流行りの室内楽スタイルということで、三つの楽器の優雅な対話の妙が聴きどころになっている。当時のフリードリッヒ大王の宮廷でクヴァンツとCPEバッハ、Vaiolinの名手ベンダ達が、またそれにアマチュアフルート奏者である大王自身が加わってこのような曲を一緒に演奏していたにちがいない。それはなんて贅沢なアンサンブルなのだろう。
2022-980
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