STENHAMMAR: String Quartets

Stenhammer Quartet  (BIS)  96Khz/24bit

フィンランドのシベリウス(1865 - 1957)、デンマークのニールセン(1865 - 1931)と同時代に生きたスウェーデンを代表する作曲家ステンハンマル(1871-1927)。彼らは互いに友人同士でシベリウスは交響曲6番を献呈したりもしている。ノルウェーのグリーグは1843年生まれなので一つ世代違いになる。

このデンマークとフィンランドのお二人に比べると知名度では相当劣るのだが、これは作品の質どうこうという事よりこれまでの国外での演奏機会、紹介のされかたの違いによるのだろう。最近は同じスウェーデン出身の指揮者ブロムステットが盛んに演奏会で取り上げている。ブロムステットはイエテボリのステンハンマル協会の初代会長でもあった(今でもそうかもしれない)。

このアルバムは弦楽四重奏の一番から六番までの全集仕立てでのニューリリースでしかもSACDという豪華さ。発行はやっぱりスウェーデンに本社のあるBIS Record. 演奏はステンハンマル四重奏団というオールスウェーデン。録音自体はここ10年で順次リリースしたものをまとめて高音質化して出したという事だろう。全集の良いところは順番に聴いていくと作曲家のスタイルの変遷を辿ることができて、当然そこには公私に何かしらの理由が存在するわけで、それが大体においてデリケートな作曲家にとってはその芸術表現にその影響を及ぼしている。彼の場合は当時大国であるロシアと強国ドイツによる圧迫でスカンジナヴィアも難しい国際情勢と民族意識の高まり、流行りつつあった新しい作曲手法の影響なども当然あるだろう。細かい作曲技法までは云々できないが1894年の第一番と1916年の第六番に至るまで徐々に充実度が上がっているのは感じることができる。四番以降は完成度もずいぶん高く五番も独特のリズムがあって面白い。これをスカンジナヴィア的というのであろうか。ロマン派音楽は甘すぎて聴く気がしないけど現代音楽はもっと聴く気がしないという時にちょうどいいのがこの頃の北欧系。もっと聴かれてもいい作曲家だと思う。

2023-208

Classic Music Diary

仕事で年間1,000枚程度クラシック・ジャズのハイレゾ新譜を聴いています。毎日4-6枚試聴する中から気になったものを日記がわりに書き留めていこうと思います。

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