Yo-Yo-Ma; Notes For the Future

Yo-Yo-Ma, various artists (sony classical).  FLAC 96kHz/24bit 

9月10日にグローバルリリースされたヨーヨーマのアルバム。

過去出したアルバムは100枚を越えているので、普通のクラシックの曲はやり尽くした感がある。最近は20世紀の知られていない作曲家の作品、ジャンルを越えての共演などに新たなる可能性を求めて活動の幅を広げつつ、本業のクラシックアルバムも毎年しっかりと出しておりとても精力的だ。

今回は、自ら五大陸の傑出したアーティストを選び共に作成した、一言で言えばワールドミュージック、クロスオーバーということになる。

ワールドミュージックも仕事の範疇にあり、クラシックのように年間1000枚という訳ではないがよく試聴するのでそれなりに知っている方だと思う。また、個人的にはヨーヨーマのシルクロード・プロジェクトなどの異業種交流ものは好みではなかったので、今回はどうなんだろうかと思っていたが、それは杞憂で、ジャンルなどそんな便宜的なものを越えた魅力的なアルバムだった。

共演相手:

1.ヨーヨーマのソロ 

2.Jeremy Dutcher - カナダ先住民系のテノール歌手。ミクマク語、マリシートの言葉で歌っている。話者は数百人しか残っていないそうだ。

3.Tunde Olanian - アメリカ、ミシガン州出身ナイジェリア系のラップアーティスト

4. Angelique Kidjo - ベナン出身のアフリカを代表する女性シンガーで4回もグラミーにノミネートされている。父がフォン族、母がヨルバ族なので、両方の言葉も喋れる。歌っているのはエウェ語ではないかと思う。歌唱力がものすごいので何を言っているのか分からないがグサッとくる。

5. Mashrou’ Leila - レバノン、ベイルートで活動するロックグループ。アラブ圏で最も影響力を持っているバンドらしい。アラブ語、英語で歌う。

6. Andrea Motis - スペインのJazz Singerでトランペットでも一流。これはカタルーニャ語のはずだ。

7. Lila Downs - メキシコの歌手。スペイン語だけでなく、自らのルーツであるミシュテカ語、マヤ語などを話し、先住民スタイルをとる独特のアーティスト。

8. ABAO - 台湾東部出身の少数民族パイワン族。台湾の代表的な音楽賞Golden Music Awardで賞をとっている。パイワン語で歌っている。

9. Marlon Williams - ニュージーランド出身。マオリ族の血を引く。マオリ語。

この様に、地域が離れ、言語も違い、スタイルもそれぞれなのだが、個性のあるアーティストのオムニバスアルバムにならず、全くバラけていないのは勿論チェロの存在感。ここでのチェロは素直に上手いと思った。

クラシックと違う共演相手の個性及び曲の魅力を最大限に出すように弾いており、これは様々な音楽と共演を重ねて其々の文化というものを探究してきたヨーヨーマでないとできないのだろうなと久しぶりに感服した新譜だった。

また、各アーティストは”傑出”というだけあって素晴らしいのでそれぞれを深掘りしていくのも楽しいだろう。

2021-731



Classic Music Diary

仕事で年間1,000枚程度クラシック・ジャズのハイレゾ新譜を聴いています。毎日4-6枚試聴する中から気になったものを日記がわりに書き留めていこうと思います。

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