PASQUALE Plays DUKE

Pasquale Grasso , Guitar.         (Sony Masterworks).  FLAC 96Khz/24bit

現代最高のジャズギタリストの一人であるパット・メセニーをして「私が今まで出会った中で最高のギタリスト」だと言わしめたその言葉で説明としては充分かもしれない。


1988年イタリア生まれのパスクエール・グラッソは幼い頃からギターに興味を示し、ジャズギタリストになることを決めていたが、クラシックの演奏はジャズの為になるはずだと思い2008年よりボローニャ音楽院で本格的なクラシックギターを学んだ。全てはジャズのために。

前述のパット・メセニーによれば、「今のギタリストは多少なりとも、私自身もそうだが、John Scofield, Bill Frisell など他のギタリストの影響を受けているものだが、彼の場合はその誰にも似ていない」。


パスクエールが探求しているのは、彼の好きなBud Powell だったりArt Tatumがピアノで奏でることのできる複数の旋律をどうやってギターで実現させるかということ。

前述のパットメセニーの言葉を借りれば、「彼のスタイルは、敢えて言えばピアニストのBud Powellで、ピアノ演奏の”ことば”(エッセンス)をギターで表現している。そんなことをやろうとしたギタリストは今までいなかった」

ジャズギターではふつう、コードあるいはメロディのどちらかを弾いていくものだが、彼の場合は両方を同時にやることができる。非常に簡単にいうと、左手はクラシックギターのような運指、右手はジャズギターの奏法。これが繰り出す分散和音と弦のハーモニーが素晴らしい。彼の『Solo Bud Powell』を聴くと二人で弾いているんじゃないのかと思ってしまう。

聴いただけでは、ダイアストレイツのマーク・ノップラーのように、どう弾いているのかわからない。


2019年ソニー・マスターワークスからのデビューリリース以来、アルバムとしては3枚及び5枚のEPを出しているが、これら全てがスタンダードを取り上げたソロ演奏というのがジャズギターではあまりないこと。それを可能にしているのが「誰にも似ていない」というそのユニークネスにあるのは言うまでもない。


今回のアルバムではトリオでの演奏、ボーカル曲も入れるというアルバムとしては初めての試みになっており、伴奏にまわった時の彼の弾きざまが注目。

また、タイトルにあるようにデューク・エリントンの曲を取りあげている。これまで、チャーリー・パーカー、バド・パウエルをテーマにしてきたアルバム・EPを発表してきているので、次はどんなジャズ・レジェンドのパスクエール版が聴けるのか、既に今から心待ちにしてしまう。

2021-758

Classic Music Diary

仕事で年間1,000枚程度クラシック・ジャズのハイレゾ新譜を聴いています。毎日4-6枚試聴する中から気になったものを日記がわりに書き留めていこうと思います。

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