Masters of The Chinese Dulcimer (揚琴)

Xu Pingxin (ARC).        FLAC 44.1kHz/16bit 

国慶節が近いこの時期は中国伝統音楽の配信を多くしている。


このアルバムは『揚琴』。洋琴、楊琴とも書かれる。その形から胡蝶琴というオシャレな呼び方もある。


音色は古琴と古箏の間のような感じがするが、琴・箏のような揺れる音がなく、チェンバロのような感じがする。


それもそのはず、この楽器は中東発祥といわれるダルシマーという楽器が原型で、400年前に中国に伝えられたのだが、欧州に伝わったものはチェンバロになったので祖先が同じなわけだ。

因みに、古琴というのは、その昔中国の文人が好んで嗜んだ楽器で三国志のドラマなどで諸葛孔明などが弾いている小型の琴。


古箏は女性が弾く大きなもので日本でいう箏だと思えばいい。

揚琴は、横に固く張られた金属の弦を、竹のバチを使って木琴みたいに叩いて音を出す。竹製を使うのはそのしなやかさを使って細い音を出すため。


この楽器、弦の数がやたらに多いのでバチで狙って叩くのは結構大変で、音楽を奏でるようになるには練習が随分と必要だと思う。


中国では伝統音楽が比較的身近で、普通によく聴かれており、伝統楽器を習っている人も身近に何人もいる。

そこは日本の伝統楽器に対する距離感と随分違うところだと感じる。しかし、揚琴を習っている人は圧倒的に少ない。おそらく難しい楽器というのは一つの理由だろう。

このアルバムで、徐平心はピアノのような速弾きを披露している。自分の指で弾くのと違いバチでこれをやるのは神業だ。


またそのバチを微妙にコントロールして強弱だけで中国伝統曲の情感をたっぷりと出している。

さすが、中国の誇る伝統楽器のヴィルトゥオーゾだけある。


どの楽器にも天才というのはいるものだなとつくづく思った。

2021-763

Classic Music Diary

仕事で年間1,000枚程度クラシック・ジャズのハイレゾ新譜を聴いています。毎日4-6枚試聴する中から気になったものを日記がわりに書き留めていこうと思います。

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