Bach Mirror II

Thomas Enhco, Vassilena Serafimiva.   (Sony Classical).    FLAC88.2Khz/24bit

パリのピアニスト・作曲家トーマス・エンコとブルガリア出身のマリンバ奏者ヴァシレナ・セラフィモアは、今年3月にこのアルバムのパート1を出している。

エンコは1988年パリの音楽家一家に生まれ(祖父指揮者ジャン・クロード・カサドシュ、母ソプラノカトリーヌカサドシュ)、早くから才能を見せてパリ音大を出る。ジャズ方面への道を歩むが、天才にとってジャンルというものは関係なくクロスオーバー的な作品を発表している。2019年の『Thirty』というアルバムはその才能が溢れ出る秀逸な作品だったのでよく覚えている。世界中でかなり多く再生されたはずだ。

このデュオのアルバムは、マリンバ特有の丸みのあるサウンドと透明感のあるピアノのコンビネーションがとても心地よい。作品の骨格はきちんと残しつつ、時折り見せるジャズの即興的なフレーズが300年前の音楽と違和感なくブレンドされており、独特のムードを醸し出している。これは、アレンジャーとしてのエンコの才能の賜物だろう。

これを聴くと、バッハの音楽というのは、なんて受容性が高く、普遍性のある音楽なのだろうかと感嘆してしまう。と同時に、一流のアーティストによるアレンジと演奏技術によって、バッハの名曲に新しい息吹を吹き込んだ創作作品になっており、単なるバッハへのオマージュにとどまらせていない二人の才能に敬服する。

2021-778








Classic Music Diary

仕事で年間1,000枚程度クラシック・ジャズのハイレゾ新譜を聴いています。毎日4-6枚試聴する中から気になったものを日記がわりに書き留めていこうと思います。

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