BRAHMS, Sonatas op.120

Antoine Tamestit, Viola; Cedric Tiberghien, piano    (harmonia mundi) 44.1 KHz/16bit

ヴィオラという楽器はヴァイオリンとチェロの間に挟まれて肩身の狭そうな楽器である。

著名なヴィオラの演奏家もヴァイオリン、チェロ奏者に比べると圧倒的に少ない。作品もまた少なく、例えばベートーベンはヴィオラの曲はつくらなかった。

そんな控えめに思える楽器であるが、ヴァイオリンとチェロの中間に位置するという音程は人間の声に最も似ていると言われ、高すぎず低すぎずというこの落ち着いた音色を好む人たちがしっかりといる。たまに、リリースされるヴィオラのアルバムが結構な頻度で聴かれるのがそれを物語っている。

Antoine Tamestit(アントワーヌ・タメスティ) は1979年生まれ。2004年のミュンヘンコンクール1位など受賞歴も多く、一流どころとの共演歴も多いヴィオラ界では知名度抜群のアーティストだ。幼少の頃にヴァイオリンを始めたが、バッハ無伴奏チェロソナタを聴いてチェロの虜になったものの、既にヴァイオリンの構えを覚えてしまったため、チェロへの転向は難しいためヴィオラを始めたという。

今回は、ブラームスの晩年の作品『ヴィオラソナタ1番、2番』が主体のアルバム。もともと、クラリネットソナタだったものをブラームス自身がヴィオラ版に編曲したもので、録音自体は多く無いものの、ブラームスらしいメロディアッックで落ち着いており、ヴィオラだとクラリネットではできない和音も楽しめる美しいメロディをもつ曲だ。

ここで、タメスティが使用している楽器は、10本しか残っていないとされるヴィオラ・ストラディバリウス『マーラー』で、相棒のピアノは1899年製ベヒシュタイン。楽器の音色を堪能するのもいいだろう。

2021-784

Classic Music Diary

仕事で年間1,000枚程度クラシック・ジャズのハイレゾ新譜を聴いています。毎日4-6枚試聴する中から気になったものを日記がわりに書き留めていこうと思います。

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