Albert KETELBEY :A Dream Picture
Rosemary Tuck, Piano (Naxos) FLAC 96Khz/24bit
ケテルビーという作曲家の名前は知られていないが(普通の人には)、その音楽はほとんどの人が聴いたことがあるはずだ。よくクラシック入門編にでてくる『ペルシャの市場にて』はかなりおなじみのものだろう。 一番の代表作は『修道院の庭にて』でこれまた極めて情緒的なメロディを持ちまさに枯れた修道院を思い浮かべる名曲なので多くの人は聴いたことがあるはずだ。それと『中国寺院の庭にて』ぐらいまでがよく聴かれるのではなかろうか。
1875年にイングランドで生まれた彼は、このようなロケーションを主題とした情景音楽を得意としており、軽音楽の世界ではとても成功したので幸福な生涯だったと言っていい。クラシックの管弦楽曲も書いたらしいがそちらは評価されず出版されなかったのだが、アーティストが探しだして取り上げるようになれば、今後評価されるかもしれない。
このアルバムはケテルビーの作品のとても耳触りのよいピアノ作品集。まるで映画音楽を聴いているようだと感じたが、このうちのいくつかは元々サイレント映画の曲として作られたということで納得した。
少し残念なのは修道院の庭という代表作ピアノ編が最後に置いてあるところ。今はストリーミングが主流でユーザーはそのアルバムを聴き続けるかどうかは、最初の曲を聴いて短くて5秒、長くても30秒以内に判断することが配信データをみるとよくわかる。つまり、掴みを最初の曲でしっかりしないともう聴かれない。そういう聴き方の時代になってしまったということだ。また、運よく次のトラックに行っても最後まで行き着く人は50%以下。最後にいい曲を持ってきてもそれは聴かれない。少なくとも前半に持ってくるようにすれば聴かれてPlaylistに入るかもしれない。
こんないい曲なのに聴かれないのは勿体ない。
2021-1063
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