RAVEL: Orchestral Works

John Wilson、Sinfonia of London  (Chandos)96Khz/24bit

音楽史上最も偉大なオーケストレイターのひとりであるフランス印象派のモーリス・ラヴェル。その音楽は色彩感覚豊かで曲を聴けばラヴェルだとわかるような特徴があり、星の数ほど存在する作曲家の中でも稀有な存在だと思っている。

このアルバムではその才能がほとばしる作品を集めたものなのだが普通と違っているのは、収録されている『ラ・メール・ロア』と『ボレロ』という代表作が、後に改編された管弦楽版ではなく元々のバレエ音楽版を忠実に再現したもので世界初演だという。

通常、私たちが耳にするのは管弦楽版なので絢爛・煌びやかな装飾をまとった音楽でそれがラヴェルだと思っているのだが、バレエ版は至ってシンプル。踊りのための音楽のわけだから主役になってはいけないのだろうが、拍子抜けするくらい淡々としている。それでもオリジナルで作曲家が思い描いた音はこういうものだったのかと、とても新鮮に感じて何回か聴いてしまうほど飽きのこない良さがあった。

指揮者のJohn Wilsonは昨今活躍の場をどんどん広げているイギリスの指揮者で、シンフォニア・オブ・ロンドンは自ら組成したオーケストラだから意思の疎通もバッチリ。イギリスの名門レーベルCHANDOSから今後も面白い企画のアルバムをリリースしてくれるだろう。

2022-144

Classic Music Diary

仕事で年間1,000枚程度クラシック・ジャズのハイレゾ新譜を聴いています。毎日4-6枚試聴する中から気になったものを日記がわりに書き留めていこうと思います。

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