PAL HERMANN:Complete Surviving Music


1902年ハンガリー生まれのチェリストであり作曲家でもあったPal Hermannの音楽家人生はほぼユダヤ人迫害から逃れるものと軌をひとつにしている。フランツ・リスト音楽院でコダーイ・バルトークに学び16歳から国外でも演奏を行うほどの腕前をみせた。しかし、ハンガリーでの反ユダヤ政策が始まったことにより音楽院へ進めず、やむなくベルリンに行きそこで活躍するのだが、 力を増すナチスの圧力を感じ、ブリュッセルへ、パリへとよりよい音楽環境と演奏機会を求めて南下。その間結婚して娘が産まれるが不幸にも奥さんは出産1週間後に他界。

そのうちヴィシー政権下のパリも危なくなりトゥールーズまで行き農家に隠れるようにして生活するが、運悪く1944年路上で捉えられ強制収容所‘に収容。最後の記録はリトアニアのカウナスに送致されたところで途絶えている。

彼の作品のほとんどはナチスによって破棄されてしまったため限られた楽譜しか残らなかった。そのためこのアルバムのタイトルが『Surviving Music』(生き残った音楽集)となっている。後年彼の娘と子孫、作品の優秀さを認める人々によりその作品が収集補稿され20世紀前半を代表するおんがくかとして近年再評価されつつある。 20世紀前半の特徴を表す古典と現代をつなぐような作風で、時折ハンガリー風メロディを垣間見せるのは明らかに師であるコダーイ、バルトークの流れをくんでいる。

2022-294

Classic Music Diary

仕事で年間1,000枚程度クラシック・ジャズのハイレゾ新譜を聴いています。毎日4-6枚試聴する中から気になったものを日記がわりに書き留めていこうと思います。

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