P.WRANITZKY : Symphonies

Akademie fur Alte Musik Berlin, Bernhardt Fork             (deutsche harmonia mundi)


先週試聴したHummelは今では知る人も少ないが1800年代初頭にはベートーベンと並び立つ巨匠だった。今回聴いたPaul Wranitzkyは1790年代にはハイドンと並び立つ人気と実力を誇っていた。1756年生まれということはモーツァルトと同い年でもありウィーンでは仲が良かったと言われている。音楽的にも人柄としても優れて尊敬され、ベートーベンは交響曲第1番の初演を、ハイドンはオラトリオ『四季』の初演を依頼したほど。多作の人でオペラ10曲以外に交響曲は44曲も残し当時は最高の作曲家と言われていたのだが1808年の死後は急速に忘れられその作品の半分以上は録音もされていない。

このアルバムではモーツァルトの魔笛のヒントになったと言われる歌劇『妖精の王オベロン』の序曲以外、三つの交響曲を収めている。op.31は1797年、op.36は1799年の作曲という時期的なこともあり、ハイドン・モーツァルトっぽいところも感じさせるが、しっかりしたスタイルを保ちベートーベンにも影響を与えたというのは成る程と頷ける。交響曲『La Tempest』は初録音だと思うのだが嵐という題名通り最終楽章の終わりでは雷鳴を模したバスドラムが鳴り響くのだが、これはとても臨場感が溢れる描写になっている。ヴラニツキーはこの10分の最終章でしか使われないこのドラムの使用方法については詳細な指示をしているそうだ。ベートーベンが田園を書く1808年よりかなり前の時期に同じ様なことをしていたことになる。

正直、今までヴラニツキーの曲を聴いてもそれほど特別な感情は湧かなかったけれど、ベルンハルト・フォルク率いる欧州で最高の古楽オーケストラのひとつであるAlademie fur alt musik Berlin(ベルリン古楽アカデミー)の演奏が素晴らしく良く、この忘れ去られた作曲家の作品の魅力が十二分に引き出されていて個人的な再評価になりヴラニツキーへのさらなる興味を持たせてくれた。

2022-527

Classic Music Diary

仕事で年間1,000枚程度クラシック・ジャズのハイレゾ新譜を聴いています。毎日4-6枚試聴する中から気になったものを日記がわりに書き留めていこうと思います。

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