EMILIE MAYER: Symphonies Nos. 6 & 3

Philharmonisches Orchester Bremerhaven, Marc Niemann  (Hanssler) 96Khz/24bit

エミーリエ・マイヤーは1812にメクレンブルクで生まれ主にベルリンで活躍した当時では珍しい女性の作曲家。亡くなったのが1883年。同時代の女性作曲家としてはクララ・シューマン1816-1896、ファニー・メンデルスゾーン1804−1847がいるけれどもこの二人が主に自ら演奏するための室内楽を多く書いたのと違い、交響曲、オペラまで幅広く網羅している。その頃の女性で同じような音楽活動をしてある程度認められていた作曲家の名前は思い当たらないのでマイヤーはプロ作曲家として自立をした初めてと言っていい女性だったと思う。

マイヤーが際立っていたのは、当時の圧倒的なジェンダー格差の中で例外的に男性社会でも認められた作曲家だった。38歳という遅い作曲家デビューもジェンダーの問題が影響したようだが、1950年、最初の作品のコンサートが成功してからはそれまで溜まっていたエネルギーを放出するかの様に交響曲の8曲を始めとしてかなり多くの作品を書いた。しかも、当時よく演奏されて出版もされたという事実があり、当時のジェンダーハンデを自らの才能でもって道を切り拓いた。賢い人だったらしく当時の女性の置かれていた地位と男性がもつ伝統的なイメージをしっかり認識していたようで反感を買わない振る舞いも、多くの作品の演奏・出版につながっていったようだ。ただ、やはり没後は他の多くの作曲家同様に演奏の機会がなくなり忘れられてしまった。生誕200年の2012年を目処にドイツでは再評価が進んでいったのだろう。昨年は伝記も出版されたが、ドイツ語なので読むのはちょっと無理。

このアルバムでは交響曲3番と6番。以前CPOレーベルから1番、2番がリリースされその時にもっと聴いてみたいと感じたのを覚えている。この頃のドイツの人なので当然ウィーンの作曲家達の影響を受けた古典派の枠組みで作曲されているがリズムの急激な変化とか移調といったところが特徴になるか。知らないで聴いたらシューマンかと思うかもしれない。同時代の偉人的男性作曲家に比べて決して劣っていることはない。まだまだ録音は少ないが評価が進みそのうち演奏会でも取り上げられてもおかしくない作品群だと思う。

2022-865

Classic Music Diary

仕事で年間1,000枚程度クラシック・ジャズのハイレゾ新譜を聴いています。毎日4-6枚試聴する中から気になったものを日記がわりに書き留めていこうと思います。

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