The year that never was (Ernesto Lecuona etc)

Matei Varga, piano. (Sono Luminus) 192khz/24bit

見るからに人の良さそうな温和な顔立ちのルーマニア出身のピアニスト、Matei Varga。聴く前から好きになってしまいそうだ。2020年、2021年はコロナ禍の厳しい状況の中で新たな喜びの一つがキューバの作曲家エルネスト・レクオーナの研究による楽曲の発見だった。

レクオーナは1896年ハバナ近郊に生まれ1963年にカナリア諸島で亡くなった。若くして音楽の才能を発揮して5歳で公開演奏会を開き、11歳で作曲出版14歳でハバナ国立学院入学ということなので絶対キューバの神童と呼ばれていたはず。クラシックだけでなくポピュラー音楽を多く作曲し自ら率いるバンドがアメリカでも欧州でも大成功した結果、今日までポピュラー作曲家として見做されていたのだが、実はクラシックの曲目も数百曲残されており近年の南米作曲家の再評価の波に乗って録音も増えている。基本的にはロマン派の流れを汲んだピアノ曲が多い。

Matei Vargaはコロナの期間中に膨大な楽譜にあたり、この非凡な作曲家のクラシックの側面に感銘を受け、レクオーナが明らかに影響を受けた、スカルラッティ、バラキエフ、ベートーヴェン、ショパンなどの作品を絡ませながら一つのアルバムにまとめ上げることを思いついた。さしずめ、レクオーナの紹介アルバムという感じだ。

ショパン同様のサロンのための小品が多いが、そこは南米の人なので明るい。時期と地域的にラグタイムの影響を受けている曲も入れている。ポーランド出身でパリで活躍したショパンとキューバ出身でアメリカで活躍したレクオーナでは性格とかそこから出てくる音楽は違って当たり前だろう。ショパンの明るい曲がレクオーナの暗い曲という感じだ。

パリの気取ったサロンとキューバの肩ひじ張らないサロンの雰囲気の違いを見ているようでとても面白く鑑賞した。

2022-856


Classic Music Diary

仕事で年間1,000枚程度クラシック・ジャズのハイレゾ新譜を聴いています。毎日4-6枚試聴する中から気になったものを日記がわりに書き留めていこうと思います。

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