GOLDBERG VARIATIONS for Ten Strings Guitar

Duo Synaphe 

(Naxos)

J.C.Bachの名曲中の名曲。


もともとの演奏はチェンバロを想定されていたが、今では現代のピアノ、弦楽編曲版、サキソフォン、アコーディオン、リコーダーなどあらゆる楽器で演奏されてきている。

原曲が素晴らしく良いので何の楽器で弾いても聴き手からは大人気なのである。そのようなわけで出版も多く、今までに様々なバージョンを数多く聴いてきたが、今回は珍しい楽器での演奏。

ギターではあるが、10弦ギターという変わったものだ。これは、スペインの名ギタリスト、ナルシソ・イエペスが発案したもので普通のギターの6弦に低音弦4本を追加したもの。演奏は当然難しくなるのだが、これにより倍音による音響効果が6弦に比べてはるかに豊かに出る。イエペス式だと7弦を最も低い音にするという不思議な調弦をするが、これは全ての音階で等しく倍音を持つように考えたものでイエペスが特にこだわった点。


また、低音が追加されていることにより、編曲の自由度が高くなり、ピアノ鍵盤楽器のベースレンジを保持することができる。実際に聴いてみるとその低音パートがとても効果的で地味な部分ながらも引き付けられて飽きることがなかった。


二つのギターが見事に絡み合い、各変奏曲に鍵盤楽器とは違う音楽表現と音のいろどりをもたらしている。

それにしても、この全曲24の変奏曲の10弦ギターへの編曲は一筋縄ではいかなかったと思う。とても良くできている。編曲だけではなく、ここまで完璧な演奏に到達するのも、相当時間をかけたに違いない。Duoの名前であるSynapheとは、相乗効果という意味だが、まさにその通りのアルバムだ。


よくやった!と言ってあげたい。

No. 2021-712

Classic Music Diary

仕事で年間1,000枚程度クラシック・ジャズのハイレゾ新譜を聴いています。毎日4-6枚試聴する中から気になったものを日記がわりに書き留めていこうと思います。

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