Four Visions of France, French Cello Concertos
Daniel Muller-Schott, DSO Berlin
(Orfeo)
2020 OPUS Classic Solo Recording Awardも受賞した世界中で人気のチェリスト、Daniel Muller-Schottの新譜は、フランスの作曲家による代表的な作品集。
2017年以降にORFEOレーベルからリリースされたアルバム以降試聴しており、これまで、“Bach,Haydn, Mozart“、”Trip to Russia”で Tchaikovsky, Graznov,”R.Strauss Don Quihote”、”#Cello Unlimited”で20世紀の作曲家、そして”Brahms”と幅広く取り上げてきた。
今回はFranceの作曲家達ということだが、生粋のフランス人Saint Saens、Faureのほか、Honeggelは両親がスイス人、Laloはスペイン・バスク地方の血が入っており、それぞれ作曲家のOriginがどう作品に影響を与えているのかというところはひとつの聴きどころ。
また、最も早い生まれのSaint Saensは1835年、一番若いHoneggelは1892年なので、その生きた時代、またこれら作曲年代も離れており、それぞれの時期に影響を受けた流行りの音楽スタイルも違うので作風は違って当たり前。
大雑把な言い方で「フランス作品」と言われ、確かに同じ香りのする作品達ではあるが、実はそれぞれ違いがあり面白いのだよということで、Four Visionというタイトルをつけたのだろう。
Muller-Schottのアプローチは、例えばSaint Saensを例に取ると、師であるロストロポービッチ、彼のアイドルであるYoYoMaの同作品ように、流れる中で非常に繊細な美しさを強調するというより、むしろDuPre&Barenboimのようにドラマチックで激情と優しさが同居する演奏に似ていると感じた。
それにしても、いい音を出しており聴いていて気持ちよくなる。
ハイレゾなのでハイファイシステムで聴くと倍音もきちんと出ていて、音量の大きさとその質感も体感できる。さすが、Rostropovich,Issaris,Schiffという巨匠達を師に持つだけでなく、楽器の違うVaiolinistのMutterからも個別指導を受けた程の才能と魅力の持ち主だけのことはある。オーケストラをここまで鳴らすのは好き嫌いが分かれると思う。
2021-721
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