PIAZZOLLA; Historie du Tango

Kazunori Seo, Flute; Vincent Coves, Guitar  (Naxos)   FLAC 96Khz/24bit 

生誕100年で新譜が多いピアソラ。今回はフルートとギターによる演奏。タンゴは1880年ごろスペインからアルゼンチンの港町ブエノスアイレスに伝わったと言われている。今でこそタンゴと言えばバンドネオンが定番だが、タンゴに持ち込まれたのは1900年以降である。

ピアソラが1982年に作曲した『タンゴの歴史』はその発展の有様を20世紀初頭から表現した4曲からなる音楽。この曲については日本を代表するギタリストである福田進一さんが日本で初演を行いその解説もなるほど感があったので参考にさせていただいた。第一楽章 『Bordel 1900』から始まる。大抵は『酒場にて』と訳されているが、これはつまり『売春宿』のことだそうで、目当ての姐さんを待っている客達がちょっとした気晴らしのために求めた音楽、大抵はフルートとギターによる明るい音楽で、これが初期のタンゴの在り方だったという。それが、『Cafe 1930』 ではカフェに進出していった様子を、戦争への流れという世相を反映してメランコリックな退廃的なメロディで表し、『night club 1960』では革命児ピアソラの登場として伝統的な2拍子リズムに多拍子を持ち込んでいる。そして第4楽章『現代のコンサート』にいたる。

20分程度の曲の中に結構な物語を詰め込んでいるのが凄いところだが、なるほど音楽というのはその時代、人々の生活に密着しているものなんだと改めて思ってしまう。

今ではタンゴではほとんど使われなくなってしまったフルートとギターではあるが、逆にその調べが新鮮に聴こえるアルバムだった。

2021-816

Classic Music Diary

仕事で年間1,000枚程度クラシック・ジャズのハイレゾ新譜を聴いています。毎日4-6枚試聴する中から気になったものを日記がわりに書き留めていこうと思います。

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