WOLF-FERRARI; Complete Overture&Intermezzi
Friedrich Haider, Oviedo Filarmonia. (Naxos). 96KHz/24bit
ヴォルフ・フェラーリ(1876-1948)はベネチアで生まれた。そういうわけでアルバムジャケットがベネチアのゴンドラ。父はドイツ人、母はイタリア人。
当時は喜劇分野、コミックオペラの領域で、特に父方の故郷ドイツでその作品が受け入れられ成功した作曲家である。器楽曲も書いてはいるがそれはキャリアの最初と最後のほうに集中して作られており、その中ではヴァイオリン作品がたまに演奏され、ピアノ作品、器楽曲もあるにはあるが録音は全体的に少ない。
人気があったオペラの録音はひととおりあるが普通には全く知られていないだろう。このアルバムでは代表作「マドンナの宝石」のほか、「スザンナの秘密」「四人の田舎者」「恋する医者」「イル・カンピエッロ」「せんさく好きな女たち」の序曲と間奏曲と名の付く全ての作品を集めている。内容がコミックオペラの割に音楽がワグナー風で重厚なところはあるが、そこは半分イタリア人。メロディが流麗で甘く美しい旋律を持つとても感じの良い曲が多い。
このように人を惹きつける音楽でありながらどうして忘れられてしまったのかだが。どうも世界大戦のために特にドイツで上演されていた彼の作品はその機会が無くなってしまったというのが理由の一つらしい。また、一次大戦では母国両国の対戦により、繊細な彼は自らのアイデンティに悩み創作の意欲をなくし、スイスに隠遁してしまったブランク期間も影響したのだろう。絵画と違い再現芸術である音楽の宿命で録音という記録手段がないと演奏機会がなくなると忘れられる。あのバッハの音楽でさえ70ー80年間忘れられていたくらいだ。
ヴォルフ・フェラーリも最近は再評価されてきて演奏機会が増えているのでその魅力的な音楽の数々ももっと知られるようになることだろう。
2021-876
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