VIERNE; Complete Piano Works ・1

Sergio Monteiro ,piano (Naxos) 96KHz/24bit

フランスのオルガニスト・作曲家として知られたルイ・ヴィエルヌ。

生まれつきの超弱視で後に全盲認定されるほどに眼が悪かったが、それにもめげずに幼少期からピアノ演奏で才能を見せ、セザール・フランクには10代始めの頃からその優れた音楽性を見抜ぬかれていて後に師事することになる。また、50人もの難関の選考会を勝ち抜きパリ・ノートルダム寺院のオルガニストの座を実力で射止め生涯その職にあった。2019年に火災にあったあのノートルダム寺院である。幸いオルガン自体は無事だったようだが、建物が一部消失したためもう昔と同じ音はでないという。

この人の人生はなかなか苦悩も多く、妻には浮気をされて離婚、子供ひとりを病気で失い、戦争ではもうひとりの息子と実の弟を亡くした。自らは自動車に轢かれてあわや足の切断となる重症を負い、その後チフスにかかり死にかける。晩年には緑内障が進行して完全に失明。

このような人生でも音楽活動は終始活発で演奏活動だけでなく点字に頼った作曲を続けた。著名なオルガン作品だけでなく、管弦楽などもあり、このアルバムはピアノ作品集の第一弾。

Op.7は1893年と初期の作品で、メンデルスゾーンの影響が見られるとあるがどこにあるのだろうかという感じ。1899年に作られたタイトル曲「ブルゴーニュ組曲」は結婚した年なのでそれなりに幸福な気持ちは作品にも影響を与えたであろう珍しく明るい曲。1913年に息子のひとりを亡くす。1916年のOp34は印象派的な響きをもつ代表曲。同年Op39「弔いの鐘の詩」が作曲される。1917年に息子を、1918年に弟を戦争で失くし、『子供の影絵遊び』はその1918年に作られた。この曲の初演は1921年にローザンヌ近郊のチャリティコンサートでクララ・ハスキルにより行われた。

ロマン派後期のフランスの音楽家なので当時の主流だった音楽の影響は当然受けているものの、作品自体は誰にも似ていない独特なものを感じるのは彼がほぼ全盲に近く視覚による影響を受けていないことが関係していると個人的には思っている。

人生の結末は劇的で、ノートルダム大聖堂でのオルガン演奏をしている最中に発作により亡くなった。最後の足鍵盤の低音だけがホールになり響き続けたという。常々「オルガンの演奏台で最期を迎えたい」と生前言っていたとおりの夢がかなった最期となった。

2021-881


Classic Music Diary

仕事で年間1,000枚程度クラシック・ジャズのハイレゾ新譜を聴いています。毎日4-6枚試聴する中から気になったものを日記がわりに書き留めていこうと思います。

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