LISZT;Harmonies Poetique et Religieuses
Saskia Giorgini
先月10月はリストの生誕月で210周年。ピアノソナタ『詩的で宗教的な調べ』は、もともとアルフォンソ・ド・ラマルティーヌの同名詩集に感動して、すぐにその年1834年にまず1曲作ったが、 それは改めて1845年から書かれたこの組曲の第4曲の原曲となった。その後、1852年までに改訂され、全部で80分以上もかかる長い組曲となった。 リストにとっても時間を掛ける意味のある大事な曲だったと思われる。ピアノ組曲『巡礼の旅』も1835年に初めて書かれたが最後の第4集は40年後なので時間がかかっているという部分と内省的である点は似ていると言えば似ている。1834年と言えば20歳でパリで華やかな生活を送っていたころではあるが、若いころから宗教的なものに関心をもつ内向的な面を多分に持っている人物だったことがよくわかる。実際に晩年は僧籍に入った。 この曲はそんなリストの宗教的な面が色濃く表現された深い意味合いを持つ美しさが魅力で個人的にも好きな曲だ。
ピアニスト、サスキア・ジョルジーニは2016年モーツアルト国際コンクール優勝その他コンクール受賞歴多数。ここではベーゼンドルファー280VCを弾いている。
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