MONTGEROULT;Complete piano sonatas

Nicolas Horvath (Grand Piano) 96Khz/24bit

忘れ去られた作曲家というよりもむしろそもそも知られていない作曲家のピアノ作品を集中的に録音しているレーベル、GRAND PIANO。ここが出す新譜の作曲家はほとんど知らない。

今回は驚くことにダブル・アルバムというボリュームで、これはあまり例がない。

リヨン生まれのHelena de Montgeroult(1764-1836)、姓の方は日本語表記だとモンジュルーと読むのが近い。

貴族の家柄に生まれたのだが、まさにフランス革命の時期であり、旦那さん共々投獄された経験を持つ。それでも、投獄の後の激動の時代に貴族出の彼女が音楽家として生き残っていけたのは、ひとえにその才能によると言ってよい。伝えられている話によると、ラ・マルセイユーズを感動的に弾いたおかげだという。

最近はようやく作曲家として認知されてきたクララ・シューマンは1819年生まれなので、それよりも50年早いということは、女性の音楽家の地位はいうまでもなくもっと低かった。

器楽奏者としてはまだしも作曲家として女性はほぼその存在を無視されていた頃で、そんな時代に700曲以上の作品を残し、しかもパリの音楽院初の女性教授にも任命されたというのは誰もが認める音楽家だったということだろう。

この2CDアルバムはソナタ9曲を全て収めてある。音楽形式的には、ちょうど、モーツアルト・ハイドンの古典派とシューマン、リストのロマン派の間の音楽という感じが見事にするが、ロマン派の音楽ほど甘ったるくない。

いままでの録音は少なく、今後研究が進むにつれて演奏の機会が増えてくる予感がする作曲家だ。

2021-950

Classic Music Diary

仕事で年間1,000枚程度クラシック・ジャズのハイレゾ新譜を聴いています。毎日4-6枚試聴する中から気になったものを日記がわりに書き留めていこうと思います。

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