Of All Joys

Attacca Quartet  (SonyClassical) 96Khz/24bit

アタッカ・カルテットは2003年に当時のジュリアード学院の学生により結成され、コンクール上位入賞歴も多く世界中でツアーをおこなっている人気アンサンブルのひとつ。もちろん日本にも来ている。

活動が多いわりに作品はそれほど多くをだしているわけではないが、2020年に現代音楽『オレンジ』でグラミー賞最優秀室内楽・小編成アンサンブル・パフォーマンス賞を受賞し、2021年からメジャーレーベル、ソニークラシカルから新譜をリリースすることになった。

今回のアルバムは、自らの作曲法をティンティナブリと呼ぶエストニアの現代作曲家アルヴォ・ペルト、ミニマル・ミュージックの大家フィリップ・グラスの作品とジョン・ダウランドなどのルネサンス期の作曲家の作品が並列に収録されている。

500年の時を隔てた音楽の共通点を浮き彫りにしようとしている。実際に聴いていても違和感は感じないのは選ばれている作品の構造・リズムが似ているからだろう。アルヴォ・ペルトのティンティナブリ様式は一定のリズム、簡素な和声など古楽の影響を多分に受けていると同時にいわゆる今で言うと簡素を追求しているミニマルの範疇とも言える。まあ同じ西洋音楽の系譜上にあるので考えてみれば当たり前のことではあるのだが、新譜が多いミニマルを聴いていても気にしてなかったことを思わせてくれた。曲間を取らずにシームレスに弾いているのも良い雰囲気を中断させないでよくできている。

演奏会も中止になり、様々な制限のあるコロナ禍のロックダウンの最中にこのアルバムは制作された。タイトルのOf All Joy は、ダウランドの『流れよ、わが涙』の一節からとってある。音楽を演奏する喜びが滲み出ていて、このアンサンブルが好きになった。

2021-908

Classic Music Diary

仕事で年間1,000枚程度クラシック・ジャズのハイレゾ新譜を聴いています。毎日4-6枚試聴する中から気になったものを日記がわりに書き留めていこうと思います。

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