Goldberg Variations

Hannes Minnaar, piano , (Northstar/challenge) DSD64 

オランダのハンネス・ミンナールはエリザベート王妃国際音楽コンクール第3位など、数多くの国際コンクールの入賞歴がある欧州では有名なピアニスト。

このゴルドベルグ変奏曲を聴くと、ああこれは随分違う演奏と響きだと感じるだろう。楽譜そのものを単純に追って弾いているわけでない。クリスタルのようなフレージングはメロディラインを引き立たせてていて独特で美しい。また、一部、例えば25番ははっきりわかるぐらいにテンポを 落としている。ストーリーを語るというよりも曲全体の構造に重きを置いている感じがする。現代解釈と言っていいと思うが演奏に吸引力があって通しで聴ききってしまった。

その理由の一つは、使用しているピアノがChris Maene製のものだからかもしれない(これは試聴後に知った)。バレンボイムが考案して共同で製作したいわゆる“バレンボイムピアノ。従来型のグランド・ピアノの場合、低音域と中音域の弦を左右に交差させているため、交差している上の弦と下の弦との間で干渉を起こし音が濁る。それを解決するため、すべての弦を平行に張ることによって、交差を避け、従来型ピアノに比べて抜本的な音色の改善が図られている。

録音は、オランダにあるブティック・レーベルNorth Starによって行われた。このレーベルは録音技術者Vert Von Der Wolfが一人でやっており、彼の卓越した録音技術による多くの優秀録音作品がある。最新技術を屈指しつつもトーン・マイスターとしての経験による彼の匠の技は、この新方式のピアノの独特なクリアーで芳醇な音色と響きをしっかりと録音するには実にうってつけだ。

2021-1021

Classic Music Diary

仕事で年間1,000枚程度クラシック・ジャズのハイレゾ新譜を聴いています。毎日4-6枚試聴する中から気になったものを日記がわりに書き留めていこうと思います。

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