SCHUMANN;Roots and Flower (Organ)

Jens E. Christensen Organ,          (Our Recording) DXD

19世紀ロマン派の時代、他界してほぼ100年たっていたバッハの音楽は一般的には忘れられていたが、シューマンはバッハの音楽を研究していた。そもそも、当時その忘れられていたバッハに再度光を当てたのはメンデルスゾーンなので同時代にライプチッヒに住み(家も歩いて行ける距離だ)交流の多かった二人は当然この前時代の大作曲家について意見を交わしていたに違いない。

シューマン夫妻は1843年にペダル・ピアノ(ピアノ・フリューゲル)と呼ばれる足鍵盤が付いたピアノを手に入れたが、それはずいぶんと大きなサイズのものだったようだ。まだ細々と作られている現代のこの楽器を見るとピアノの下にピアノがあるような不思議な形をしている。購入の目的は主にバッハのオルガン作品を自宅で演奏するためだったという。そこで、書かれたのがこのアルバムに収録されている『ペダルピアノのための練習曲』と『B・A・C・Hの名による六つのフーガ』。前者はシューマンという感じがしないバロック風音楽とシューマンらしい情感のある音楽(特に第4楽章)が混ざっている。レアな作品でありながら後にドビュッシーも2台のピアノ編曲版を残しているくらいなのでプロにはしっかりと意味を持つ佳作として認知されていたのだろう。

オルガンの音色の良し悪しは私にはわからないが、これはコペンハーゲンの救世主教会にある1696-98年製作のものなので、バッハの生まれた年1685年とそう変わらないのだなと思いながら戦禍を逃れてきたこのオルガンの古い音色に耳を傾けた。これがシューマンの曲なんだと思いながら数度聴いた。

2021-1046

Classic Music Diary

仕事で年間1,000枚程度クラシック・ジャズのハイレゾ新譜を聴いています。毎日4-6枚試聴する中から気になったものを日記がわりに書き留めていこうと思います。

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