Szczerbinski

Giorgio Koukl  (Grand Piano)  96Khz/24bit

知られざる作曲家のピアノ作品に焦点をあててリリースしているGRAND PIANOレーベル。

ここの新譜の作曲家はほとんど聴いたこともないのが普通だが、今回の作曲家は知られていない程度がかなりの高レベルだ。

何語でサーチしてもレーベルの説明しか出て来ないというのはめったにないことだ。

Alfons Szczerbinskyは、1858年にポーランドのSremという町で生まれた。才能ある作曲家の常だが、若干7歳にして最初の作品を作曲した。

ベルリンの王立芸術アカデミーのメンバーになった際には、その才能が高く評価され通常の2倍の奨学金をもらい、将来の大作曲家だと期待されていたそうだ。

1883年に学位を終了することができ、ポーランドに戻ってからは運に恵まれず貴族の子弟に音楽を教える仕事をしていたが、どうもそれには作曲家としてはとうてい満足できなかったようだ。

しかも、希望のクラコフ音楽院に就職できなかったため、おカネが底をつき、世俗を離れて聖職につくことを望むようになったのだが、いろいろあって身体を壊し1895年に41歳で亡くなったというあまり幸福とは言えない後半生だ。後のベートーベンかと期待された割には残された作品は65本と多くはない。この第1集ではピアノ9作品を収録。全て世界発録音だという。

知られていない理由は、恐らく出版されていなかった、また公での演奏機会もなかったということか。ショパンとかシューマンが生まれたのは共に1810年だから、彼の古典派とロマン派の間にあるようなスタイルは大きな音楽の流行の波に飲み込まれてしまったのだろう。でも、1833年生まれで古典派の形式美を意識しつつロマン派の音楽を作り大作曲家と認められているブラームスのようになれなかったのは恵まれない環境だったからだろうか。

忘れ去られた作曲家への興味は尽きない。

2021-1050

Classic Music Diary

仕事で年間1,000枚程度クラシック・ジャズのハイレゾ新譜を聴いています。毎日4-6枚試聴する中から気になったものを日記がわりに書き留めていこうと思います。

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