TCHAIKOVSKY:Piano Concerto No.1 Original Score

王夏音    (Chandos)  96Khz/24bit 

ああ、また新しいチャイコフスキーのピアノ協奏曲一番かと思って聴き始めたのだが、何か少し違うので、よく見たら1875年当時のオリジナル版だった。珍しい。

通常よく使われているのは1889年改訂版。どこが違うのかというと、一番大きな違いは、この曲の最も印象的な、出だしでてくる力強いソロピアノ。オリジナル版の楽譜ではこの部分は和音のアルペジオだった。改訂版では音域拡大もされているのでダイナミックな迫力あるものになっていてより華やかに聴こえる。

チャイコフスキーがこの曲を作曲して、ピアニスト・友人でもありモスクワ音楽院学長のニコライ・ルービンシュタインに見せたところ、ずいぶんけなされて自分には弾けないから書き直したほうがよいと言われたというのは有名な話だが、日本を代表するピアニスト、横山幸雄さんによると、それもわからなくはないと。プロによればこの曲のピアノパートはピアニストにとって指の動きが自然に弾きやすいようになっていないらしい。それ以前の著名なピアノ協奏曲を作曲した大作曲家は皆優れたピアニストであり、そのあたりをわきまえていたということだろう。しかし、法律を学んで法務省に勤めていたチャイコフスキーはピアノが弾けなかった。23歳まで音楽は趣味だった。その他、他界のために第一楽章しかないピアノ協奏曲第三番、スクリャービンが一曲しか書かなかったピアノ協奏曲。

上海音楽学院出身でその後ニューヨークに学んだ王夏音はアルバムデビューが2007年。ChandosとNAXOS両レーベルから既に10数枚のアルバムを出してきているキャリアも充分なピアニスト。今回は名門ロイヤルスコティッシュナショナル管弦楽団と著名作曲家のあまり馴染みのないレパートリーを披露しているところが新しい。

2021-1080

Classic Music Diary

仕事で年間1,000枚程度クラシック・ジャズのハイレゾ新譜を聴いています。毎日4-6枚試聴する中から気になったものを日記がわりに書き留めていこうと思います。

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