BIBER : Mensa Sonora

The Purcell Quartet.             (Chaconne) 96Khz/24bit 

1644年、今のチェコのボヘミアに生まれたハインリヒ・ビーバーの『食卓の音楽』。卓越したヴァイオリニスト兼作曲家であったビーバーは『ロザリオ・ソナタ』という作品がよく録音されているがそれ以外はあまり見かけない。バッハよりも約半世紀前の音楽家なのでバロック中期から後半にあたる。まだ、音楽が一般市民のものになっていないころ。

この『食卓の音楽』は、仕えていたザルツブルク大司教に捧げられた作品。大司教達(或いは上流階級)がお食事する際の音楽で言ってみればBGM。大事なのは会話を交え楽しく食事するのを妨げないような無難な音楽であること。アルバムジャケットにあるような感じの食事風景だったのだろう。

この、食事の為の音楽は、後のバロックの大作曲家テレマンも『ターフェル・ミュージック』を主人の為に、モーツァルトも青年時代にザルツブルク大司教のために食事用のディヴェルトメントを書いたりしている。才能ある作曲家に観賞用でなく、気を引かないような音楽、気を留めないような音楽を作れというのは作曲家の自尊心を結構傷つけるのではなかろうかと思ったりもする。彼らが食事をする際には音楽など聴いていなかったはずだ。だからと言って、その音楽がつまらないというわけでは決してなく、テレマンにしてもモーツァルトにしてもこのビーバーにしても職業人として目的に合わせながらも、手を抜かずしっかりした作品で才気を隠せない作品になっているのが後世まで名を残す天才たる所以。

2022-84

Classic Music Diary

仕事で年間1,000枚程度クラシック・ジャズのハイレゾ新譜を聴いています。毎日4-6枚試聴する中から気になったものを日記がわりに書き留めていこうと思います。

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