BARTOK:Violin Sonata No.1/No.2
Franziska Pietsch, violin/ Maki Hayashida, piano (Odradek) 96Khz/24bit
バルトークのヴァイオリンソナタ1番と2番及び『ルーマニア民族舞曲』を同時に収録してあるとてもチャレンジングなアルバム。
20世紀の新しい音楽の創造に野心的だったバルトークが、ロマン派時代のようなヴァイオリンとピアノが寄り添うようにして同じパートを弾くヴァイオリンソナタを作るわけがない。それぞれの楽器がかなり独立しつつも補完の関係にあるものとして書かれている。 部分部分では別個の動きをしているようでも楽曲全体では一つの森のような一体感を覚える。
バルトーク自身がこの曲のヴァイオリン・パートは特に難しく一流のヴァイオリニストにしか弾きこなせないだろうと語っているほどの難曲としても有名。過去の有名なアルバムとしては、クレーメルとアルゲリッチのものがあるが1番だけだった。それはそれはすごい演奏なのだがとても強い個性がぶつかり合うのでそれが好きかどうかということになる。
Franziska Pietschは東ドイツ出身。WDRを始めとして欧州著名オーケストラのコンサートマスターを歴任した後、室内楽に選任するためコンサートマスターは卒業。室内楽作品ではアワードもとり、つい最近では2021年に有名なICMAを受賞するなどしてきた。 彼女は14歳まで国家の育成芸術家であったのだが、父親が西ドイツに亡命したため、そこからすべての優遇措置がなくなっただけでなく報復措置として音楽教育を受けることが全くできなくなった。その時期はひたすら一人でバッハを弾き、何故音楽をやるのかを考える日々だったという。幸い2年後に西ドイツで家族が合流することができたが、彼女の音楽哲学を形成するうえでとても重要な2年間だったようだ。
ヴァイオリンが注目されるこの曲だが対等な立場にあるピアノもかなりの技量を必要とされるのはいうまでもない。
芸大出身で長く欧州で活躍している林田真希さんによる。
両者の均衡がとれた良い演奏だと思う。
2022-70
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