EDUARD FRANCK: Piano Concerto No.1&2

Georg Michael Grau, Wurttenburgische Symphonie (CPO) 

エデゥアルド・フランク(1817-1893)は当時のプロイセン・シレジア地方ヴロツワフ、今のポーランド西部の町に生まれた。

ここは90年代に訪れたことがあるが特にこれといった特徴のない普通のポーランドの町でワルシャワに行くよりベルリンの方が距離的には近くドイツ語を話せる人達が多かったのを記憶している。

フランクは裕福な銀行家のもとに生まれ家庭環境も良かったため多くの著名な文化人と交流を持つことができ、フェリックス・メンデルスゾーンから何年にもわたり私的に指導を受けることもできた。メンデルスゾーンの父親も著名な銀行家だったので地理的な近さからも両家は繋がりがあったのだろう。後に卓越したピアニストとして大成したフランクは優れた音楽教育者として名前を残している。

作品も少なからずあるとは言え生前に出版されたものが少ないため作曲家としてはまず知られていないのだが、多くの偉大な音楽家を見分ける能力に長けていたシューマンからもその作品は高く評価されていた。

録音も限られているが今回はドイツのマイナーレーベルとは言え中堅のCPOからのリリース。

『ピアノ協奏曲1番』『ピアノ協奏曲2番』は、それぞれ、1849年と1879年の作品。因みに、ベートーベンが亡くなるのが1827年。フランクが活躍したころは古典派とロマン派の偉大な作曲家達に挟まれた狭間世代で多くの忘れ去られた作曲家が存在する。だからと言って、彼のピアノ協奏曲が折衷作品というわけではなく、形式的な明快さと気品を感じさせる表現スタイルで聴き通させる力を持った魅力的な曲だと思う。狭間世代だからと言って聴かれないのはもったいない。今後、研究が進んで再評価される日が来ることだろう。

2021-93

Classic Music Diary

仕事で年間1,000枚程度クラシック・ジャズのハイレゾ新譜を聴いています。毎日4-6枚試聴する中から気になったものを日記がわりに書き留めていこうと思います。

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