PAULINE VIARDOT - Tribute

Marina Viotti(Ms)Christophe Rousset / Les Talens Lyriques (Aparte) 

19世紀、最も影響力があったといえるシンガー・音楽家のポーリーヌ・ヴィアルド。ロッシーニに認められ類稀なる歌唱力と多方面にわたる芸術的センスと知性、人間的魅力で19世紀の中頃パリで活躍した多くの芸術家に影響を与えた。

例えばロシアの文豪ツルゲーネフはポーリーヌに魅せられた『追っかけ』で、既に結婚していたポーリーヌ家にまで深く入り込むという今の言葉ならまるでストーカーまがいにとれるが、ヴィアルドの一家のために別荘まで献上、独身で亡くなった彼は財産と著作権をポーリーヌに遺贈した。

ベルリオーズやグノーは友人且つ崇拝者でグノーの『サッフォー』はポーリーヌに促されて書いたもので当然献呈もされている。マイアベーアの『預言者』、サンサーンス の『サムソンとデリラ』も彼女のために書かれたもの。シューマン、ブラームスも曲を献呈している。

ショパンとの関係はジョルジュ・サンドを通してとりわけ深く、またサンドの小説のヒロイン像の着想にまでインスピレーションを与えた。

ピアニストとしてはリストに師事しており相当の腕前だったと言われている。更には作曲家としても数多くの作品を残しており、歌手という職業のせいだろうかその達者な語学力を生かし仏、英、西、伊、独、ロでも声楽曲を作曲することができた。ツルゲーネフが書いた台本を基にした『最後の魔法使い』というピアノオペラというものもある。

このアルバムではヴィアルドにゆかりのある曲を取り上げている。メゾソプラノは故マルチェロ・ヴィオッティの娘で兄も指揮者のマリーナ・ヴィオッティ、指揮はクリストフ・ルセと古楽団体レ・タラン・リリク。ルセ、レ・タラン・リリクは主に17、18世紀の楽曲演奏を主体にしているので今回のロマン派アリア集というのはとても珍しくて興味あるところでもあるが、やはりここは伝説の歌手ヴィアルド像にどこまで迫れるかというマリーナ・ヴィオッティの頑張りが聴きどころだろう。

2022-1170

Classic Music Diary

仕事で年間1,000枚程度クラシック・ジャズのハイレゾ新譜を聴いています。毎日4-6枚試聴する中から気になったものを日記がわりに書き留めていこうと思います。

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