Bachology

David Gazarov Trio (enja) 44.1khz/16bit 

バッハの音楽はバロック時代までの集大成で一つの西洋音楽の完成された形である為に、後世の偉大な作曲家達は皆バッハを研究しその作品の主題などを用いて作曲をしているが、それはクラシックに限ったことではなくてジャズではキースジャレットを始めとして多くのジャズメンが好んで使っているし、ポップ・ロックジャンルでもまた然りで、古いところではプロコルハルムの青い翳とかあげればきりがないくらい。数年前のテレビでリッチー・ブラックモアのギターリフはまさにバッハだというのも聴いた覚えがある。

それくらい頻繁に題材として使われているのでバッハのジャズと言われても特に目新しさは感じなかったが、試聴していて(もちろん別の仕事しながら)オヤッと惹かれるものがあって、それはなんでだろうかと思い興味を持って探ってみると、これがまたよく練られた構成でジャズ化してあるようだ。それぞれ、まず原曲を和声を若干変えるだけでほぼそのままの形で一度演奏し、その後主要なモチーフを取り出して10分以上のビバップ演奏をするのだが、そこでの主題は変奏曲として展開していくという伝統的なクラシックの技法を使い、ただ和声とリズムはジャズの手法を取るという発展のさせ方。クラシック側から見ていくと原曲がはっきりわかる為ジャズ的な崩し具合がちょうど良い。

ピアニストのデヴィッド・カザロフはアゼルバイジャンのバクー出身。まだソ連だった頃にモスクワ音楽院で学び優秀な成績で賞を取ってきておりミュンヘンで活躍している。クロスオーバーのアーティストで特にクラシックとジャズの融合を積極的にテーマにしている。メディアでは、新しいフリードリッヒ・グルダだとか1900年代前半に活躍した視覚障害のピアニストのアート・テイタムとホロヴィッツの共演を一人でやっているようだとか分かりやすい形容のされ方をしている。

このアルバムは欧州の著名ジャズレーベルのenja recordからだが、ソニークラシカルからはショパンを題材にしたアルバムが出ているのでそちらも聴いてみようと思う。

2022-1100


Classic Music Diary

仕事で年間1,000枚程度クラシック・ジャズのハイレゾ新譜を聴いています。毎日4-6枚試聴する中から気になったものを日記がわりに書き留めていこうと思います。

0コメント

  • 1000 / 1000