MOZART: Complete Piano Sonata

藤田真央 (SonyClassical) 96Khz/24bit

コロナ以降3年ぶりの大陸を横断する長いフライトの出張。飛行機の中では長めのアルバムを聴いてみようと思いちょうど数週間前にリリースされたばかりの藤田真央の新作を聴いてみた。

ソニークラシカル移籍後初のアルバムは得意とするモーツァルトの5枚組ソナタ全集という力の入ったもの。既に2017年のクララ・ハスキルコンクール優勝で既に一部では注目されていてアルバムリリースは数枚あったが、実際に海外では特に目立って聴かれているわけでもなかった(日本は別として)。やはり、2021年のチャイコフスキーコンクールでの2位のインパクトは大きくて、既にピアニストのロースターはいっぱいいっぱいで専属をほとんど増やしていないメジャーレーベルのソニークラシカルがその実力と将来のスター性を認めて専属契約という好条件でアルバムリリースが可能になったということだろう。レコード会社にも普通の企業同様に利益目標があるので、実力・天才は当たり前で、加えて世界的に売れそうなタレント性を持ってないと契約することはないし、特にスタープレイヤーを多く抱えるメジャーレーベルの基準は最も高いと言っていい。

今回のアルバムは、もともと2021年にモーツァルトソナタ全曲コンサートが行われそのプロジェクトをスタジオに持ち込んだ形で録音されたもの。感心するのは通しで聴かせる力を持っているということ。マルチアルバムの場合は順番に聴くと途中で飽きてしまうものもあるのだが、彼の場合は次の曲への期待感が膨らみ次へ次へと聴いていってしまった。しかも、もう一度聴きたくなった。とてつもなく柔らかなタッチとペダリングの妙がモーツァルトの諧謔性を醸し出していて楽しい。また、お得意のリピートの際の即興など彼独特のもので、モーツァルトもこんな風に弾いたのではないかなと思ったりもした。仕事柄年間1000枚以上聴く私もこれはなかなかのアルバムだと唸らされた。

まだ、二十歳前半なので今後は多くのアルバムがリリースされるだろうし、段々と成長していく姿を見るのもまた楽しくなりそうだ。

2022-1500

Classic Music Diary

仕事で年間1,000枚程度クラシック・ジャズのハイレゾ新譜を聴いています。毎日4-6枚試聴する中から気になったものを日記がわりに書き留めていこうと思います。

0コメント

  • 1000 / 1000